多くのアレクサンダー・テクニーク教師や、動きの専門家などがボディマッピングについて指導していますが、今日お伝えしたいことは、
”ボディマッピングさえ学べば体の使い方をマスターできるは嘘!?”
ということです。
その理由をお伝えする前に、ボディマッピングを知らない方もおられると思うので、簡単に説明したいと思います。
ボディマッピングとは、 日本語に訳すと「身体の地図づくり」です。
私たちは自身の体の対し様々な思い込みを持っています。
ボディマッピングはその思い込みに気づき、本来の構造や動く仕組みに則って身体に対する認識を書き換えていくことです。
一つ例をあげてみましょう。
腕の始まりってどこですか?と尋ねると、身体について学んだことがない人はたいてい肩のあたりを指します。
でも実際の解剖学的にはそこではありません。
正しくは鎖骨と肩甲骨です。
試しに、右側の腕を肩から始まると思って上にあげてみてください。
今度は左腕を、肩甲骨と鎖骨が腕のはじまりと思ってあげてみてください。
全然動かした感じが違うかと思います。
私たちの体というのは元々動くようにできているので、そのデザイン(本来の機能)に則って動けば楽に動けるということです。
そして、このボディマッピングの優れたところは認識さえ書き換えれば一瞬で動きを変えられるというところです。
ボディマップ(体の地図、体の認識)が間違っていれば、どんなに繰り返しトレーニングをしても適切な動きは得られないので、体の使い方を見直したい人にとっては知っておいてほしい内容です。必須と言っても過言ではありません。
ただですね、
この優れたツールも万能ではありません。
ボディマッピングを完璧にマスターすれば、理想的な体の使い方がマスターできるかというとそうとも限りません。
そして、ボディマッピング=アレクサンダー・テクニークでもありません。
あるいは、アレクサンダー・テクニークでいうところのプリマリーコントロール(知らない人は流していただいて結構です)は、ボディマッピングをマスターすれば得られるかというとそうではありません。
時々、ここを勘違いしている人がいるような気がします。
よく考えてみてください。
もしボディマッピングだけで体の使い方が完璧になるのであれば、ほとんどの人が既にうまく体を使えるようになっているはずです。
ボディマッピングを学ぶことは決して難しいことではないので、世の中の人の体の不調がもっとなくなっていておかしくないですが、残念ながらそうではありません。
また素晴らしい動きができるアスリートやダンサーがみんな正しいボディマップを持っているかというとそんなことはありません。解剖の知識ゼロ、という人もいっぱいいます。
ですから、ボディマッピングは体の使い方を正す上で有効なツールですが、それだけで大丈夫ということではないということです。
また、ボディマッピングは、身体の構造や機能に関する(頭と体の)理解を深めてくれるのは事実ですが、動きの質という点において、私たち人間にはまだまだ沢山の可能性、バリエーションを持ち合わせています。
それを引き出すためには、ボディマッピングのアイデアだけでなく、それ以外の学びを加えていく必要があります。
さらに、ボディマッピングは、ネガティブな面、注意すべき面もあります。
例えば、ボディマッピングを学んだ故に部分にとらわれ、全体性(体や自分全体を使うということ)を失ってしまうこともあります。
ボディマッピングに関わらず、どんなツールや原理もそうですが、どんなに有効なものであっても必ずネガティブな側面(落とし穴・注意すべきこと)があります。
そういうことを理解することが本当の意味でそのツールや原理を有効に使えるようになると思っています。
ですから、私自身は自分の生徒さんに、ボディマッピングをお伝えしますが、良い面・悪い面・注意すべき面、すべてお伝えするようにしています。
また、ボディマッピングはあくまでも体の使い方をアップデートするための一つの要素であり、私自身はそれ以上に、動きの質を変えていくことや、それによってその人自身が変容すること、暮らしにどう繋げていくのか、といったことが指導者としてこだわりたいところです。
もしそういったことにご興味がある方は一緒に学んでいただけると良いかと思います。
最後にもう一度言いますが、
ボディマッピングは体の使い方を向上させる上で有効ですが、万能ではありません!!
今日はそこを理解していただけたら嬉しいです。
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