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  • 執筆者の写真林好子

二つの上達

今日は上達について、私なりの経験、考えを書いてみることにしました。

今私が思っていることなので、皆さんなりに考えていただけたらと思います。



数日前、合氣道のお稽古に行った時のこと。

休憩時間に前受け身の練習をしていたのですが、2回だけこれまでと全く違う感覚でできました。

そこにいた仲間にはどれも同じ動きのように見えたようですが、私の中でその2回は完全に別物ものでした。

これまで何年もやってきましたが初めて納得できた前受け身と言っても過言でありません。

私にとって未知に一歩踏み出せた、未知が既知になった瞬間でした。

たった2回ですが、この経験は大きいと私は思っています。

(しばらく経験していない、でも経験したことのある)遠い既知より、すぐ隣にある未知を経験することの方がずっと難しい。

一歩先、半歩先にあるにも関わらず、なかなかそこに行けない。

でも一旦経験すると、そこは身体にとって既知の領域。

まだ2回しか経験していませんが、その経験がこれまでよりずっと身近になったはずなので、これからが楽しみです♪

私は、動きの上達には2つの段階があると思っています。

一つは、パフォーマンスのばらつきを減らす段階。別の表現をすると、毎回ある程度同じようにできることを目指す段階。

もう一つは、いつもと違うようにできることを目指す段階。

前者と後者は真逆です。

前者はいつも同じように、後者はいつもと違うように。

真逆ながら、どちらも上達であり、大事だと思っています。

前者のばらつきを減らし、いつも同じようにできるというのは、分かりやすい上達の定義かと思います。

何か新しいことを学び始めた時、上手くできることもあれば上手くできないこともある。

要はパフォーマンスに安定感がないということです。

誰もが通る道です。

だから練習を重ね、成功率、安定感を高めていく。

10回中3回しか上手くできなかったのが、10回中9回上手くできるようになれば、これは上達と言えます。

一方、後者のいつもと違うようにできる、というのは、今回の私の合氣道の受け身の経験のようなものです。

自分にとって未知を経験をすること。

時には周囲から見るとなんら差異を感じられない小さな変化かもしれませんが、未知の経験は、自分を別の次元に引き上げてくれるきっかけになり、大きな上達と言えるのではないでしょうか。

そして、次のレベル(次元)で、また成功率・安定感を高めていく。

その繰り返しが大切だと感じています。

ただ、多くの人が、前者の安定感・成功率を上げることには着目するけど、自分にとって未知なる経験をするための意識や努力を忘れがちな気がします。

これは私自身の経験ですが、安定感や成功率が上がってくると、ある種の満足感が生まれます。

今まで難しいと感じていたことが簡単に感じられて、気持ちよくなってくる。そして、「できている」という錯覚に陥ってしまう。

だから、一旦安定感が上がったら、ついついそこに居止まろうとしてしまう。でも居止まるということは変化がない、上達がないとも言えます。

だから、一旦安定感を得たら、次はそこを抜け出すための努力、つまり未知の経験を得るための模索をしていく必要があるのではないでしょうか。

そして、自分が今どちらの上達段階を目指しているのか、その辺りも意識しながら、それによって練習の方法も変えていくことがより上達を促進してくれるように思っています。

ちなみに、今回私が経験した2回の受け身は、感覚的には思いもかけぬ動きがやってきた感じでハッとしました。未知の経験なので、その経験自体は事前に想像できるものではありません。うまい人をみてこんな感じかなと思い描いていても、その身体感覚というものは、やはり私にとっては未知なのです。だから、それが起こった時は予期せぬ動きが向こうからやってきた、そんな感覚でしたが、一方で、私自身はその動きを引き寄せたという風にも思っています。それまでやってきた受け身とは違う経験を求め、でも求めすぎず、むしゃらに追うことなく、練習方法にこだわり、自分がやっていることに気づき手放し、新たな方向性を自身に指示した結果、引き寄せられたのではないかと。ただこの辺はまだ十分言語化できないので、今回はここまでにしたいと思います。そして、私自身、これからも我が身を持って実験し探究し続けていきたいなと思っています。

ぜひ皆さんも、未知に挑戦して下さいね!

アレクサンダー・テクニークは皆さんの未知なる経験をサポートしますよ!




2022年8月「メルマガ」より抜粋

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