アレクサンダー・テクニークを一言で表現すると…
- 林好子
- 2017年11月26日
- 読了時間: 2分
更新日:8月27日
前回のブログでアレクサンダー・テクニークを一言で語るには難しいと言いましたが、創始者のF.M.アレクサンダー氏は、アレクサンダーテクニークを一言で表す言葉として「Readiness」 を使っていたそうです。
私はこの言葉に、とても大事なヒントがあるように感じています。
「Preparation」 と 「Readiness」の違い
Readinessは「Ready(用意ができている)」の名詞形で、日本語では「準備」と訳されます。ただし、同じ「準備」と訳される Preparation とは少し意味が違います。
Preparation:何か特定のことに備える準備 例:パーティの準備、明日のプレゼンの準備
Readiness:特定のことに備えるのではなく、自分自身の準備が整った状態
そして、アレクサンダー・テクニークが大切にしているのはPreparationではなく、このReadinessです。
Readinessをイメージすると
例えば合気道。目の前の相手だけに備えていたら後ろからの攻撃に対応できません。どの方向からでも、どの瞬間でも動けるような状態をReadinessと呼べます。
また、馬術競技の馬もわかりやすい例かと思います。騎手の手綱の小さな合図に、前後左右どの方向にも瞬時に反応できる。その柔軟さや応答性も、Readinessの一つと言えます。
大事なプレゼンやパフォーマンスなども同じです。本番のために準備(preparation)しますが、最後の最後は、自分の準備(readiness)=自分の整いが、本来の能力を発揮するために必要と言えます。
Readinessは、身体だけでなく、自分全体
ただ「力んでいない身体」だけでは、Readinessとは言えないのではないでしょうか。力みのなさは大切ですが、それに加えて
五感が澄んでいること
注意が広がっていること
心が静かでありながら、同時に目覚めていること
そうした全体の在り方がReadinessなのだと感じています。単に「リラックスして楽になった」というだけでは、リラクゼーションで終わってしまいますが、アレクサンダー・テクニークが目指すものは、それ以上に広がりのある「Readiness」ではないかと思っています。
最後に、フランス人のアレクサンダーテクニーク教師のマリー・フランソワーズはこんな言葉を使っておられたそうです。
「Prepare for nothing, ready for anything.」
(特定の何かに対し準備するのではなく、何にでも応答できるよう整っている)
私は、この言葉がアレクサンダー・テクニークの本質をとてもよく表していると感じています。
先人の言葉をヒントに、学びの旅路の途中にいる私なりの考えや理解を含めて書いております。もし皆さんの学びや気づきに少しでも役立てば嬉しいです。





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